朴壽南の映画「沈黙―立ち上がる慰安婦」におけるトラウマ記憶の記録手法 - 土井敏邦「“記憶”と生きる」との音の活用形態の比較を通して -

The Recording Techniques of Traumatic Memory in Park Soo–nam’s Film “The Silence” : Through Comparison of Sound Usage with the Movie “Living with Memories” by Toshikuni Doi

초록

在日朝鮮人2世の映画監督・朴壽南は、戦後日本の公的な歴史で周辺化されてきた朝鮮人戦争被害者たちの語りを数十年に渡り記録してきた映像作家である。近年、在日朝鮮人が製作したり、あるいは彼/女らをモチーフとするドキュメンタリー作品への関心が高まり、関連研究も増えつつある。しかしながら、なぜか朴壽南の作品はそれほど注目されていない。また、従来の在日朝鮮人の映画研究の大半は歴史・社会・政治などの観点から映画的記録・再現の意味やその変遷を考察しており、映像と音が織りなす作品固有のスタイル(Film Style)について論じる研究はまだ乏しい。そこで本研究では、朴壽南が慰安婦被害者たちの恨(ハン)を記録した映画「沈黙―立ち上がる慰安婦」(2018)に用いられている「音の活用形態」に注目し、彼女の映画がいかなる手法で被害者たちのトラウマ記憶を記録しているのかを読み解くことを試みた。そのため、ミシエル・シオン(Michel Chion)が提案する映画の「音の領域/境界区分(the tri–circle)」と「聴取点サウンド(point of audition)」の概念を基に、同じく慰安婦問題を取り上げている土井敏邦の「“記憶”と生きる」(2015)と比較分析した。これを通して、朴壽南の映画が被害者たちの証言を記録することに留まらず、イン(in)/フレーム外(hors–champ)/オフ(off)の音をいみじくも活用し、慰安婦問題の真相を掘り下げると同時に、被害者の切実な訴えに対する関心と共感を求めていることを提示しようとした。

키워드

朴壽南、沈黙―立ち上がる慰安婦、記憶と生きる、ミシエル・シオン、映画サウンドPark Soo–namThe silenceLiving with memoriesMichel ChionMovie sound
제목
朴壽南の映画「沈黙―立ち上がる慰安婦」におけるトラウマ記憶の記録手法 - 土井敏邦「“記憶”と生きる」との音の活用形態の比較を通して -
제목 (타언어)
The Recording Techniques of Traumatic Memory in Park Soo–nam’s Film “The Silence” : Through Comparison of Sound Usage with the Movie “Living with Memories” by Toshikuni Doi
저자
박동호
DOI
10.21442/djs.2023.61.06
발행일
2023-12
저널명
日本學(일본학)
61
페이지
113 ~ 139